フジロック'22 Japanese Breakfastの感想

2022年7月29日〜31日に新潟県の苗場スキー場にて開催されたフジロックフェスティバル新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年は開催中止、2021年は国内アーティストのみのラインナップで開催、今年は3年ぶりに海外アーティストが出演するフジロックでした。

 

わたしは最終日7月31日に出演するJapanese Breakfastというアーティストのライブをどうしても観たくて、日帰りで参加してきました。個人的には3回目のフジロック。最初は2018年に日帰り、2019年には民宿で1泊して2日間参加。日帰りは楽だし、今年は天候にも恵まれて、本当に素晴らしい時間を過ごせたので感想を書き残しておきます。

 

Japanese Breakfastとは

spur.hpplus.jp

Japanese Breakfastはアメリカ・オレゴン州出身のシンガーソングライター、ミシェル・ザウナーのソロプロジェクト。Japaneseと付いていますが、韓国人の母親とアメリカ人の父親を持つ韓国系アメリカ人です。プロジェクト名の由来は「Japaneseというオリエンタルな響きとBreakfastというアメリカンな響きの組み合わせが面白いと思ったから」と何かのインタビューで読んだ気がしたのですが出典が見つからず…。そこまで深い意味がないことは確か(笑)。

 

2016年のファーストアルバム「Psychopomp」、2017年のセカンドアルバム「Soft Sounds from Another Planet」はどちらも母親の闘病と死別がテーマに敷かれており、陰のある浮遊感とポップな輝きが同居している不思議な魅力を持った作品。

 

そして、昨年リリースされたサードアルバムのタイトルは「Jubilee」。「Jubilee = 祝祭」というタイトルが示す通り、悲しみを乗り越えた先にある喜びに満ちた、煌びやかなアルバムとなりました。コーチェラ出演などを経てバントとしても完璧に仕上がった状態での来日ということで、絶対に見逃したくないライブだったわけです。

 

現地到着からライブ開始まで

今回は往復夜行バスで行きました。過去2回とも行きは当日朝の新幹線だったので、時間に余裕を持って現地に入るのは初です。30日(土)21:30横浜出発予定。ところが、横浜→東京→新宿と寄って乗客を拾う予定だったけど、新宿で乗る人数が0人なので出発時間が22:00に後ろ倒しになりましたとのこと。横浜の乗客もたったの7人…。

 

てっきりバスが何台も並んで、「あなたは○号車です」とか割り当てられて、ぞろぞろ乗り込んで、という賑やかな光景を想像していたのでやや拍子抜け。コロナを理由に諦めた人も少なくないだろうし、新幹線で行く人、車で行く人もいて、しかも最終日だけ参加という人はかなり少数派なんだなと実感。でも、おかげで車中では広々快適に過ごせました。

 

Japanese Breakfastのライブは、収容人数4万人を誇るフジロックのメインステージ、GREEN STAGEにて13:00から。対してバスは7:00には苗場スキー場に到着しました。6時間!さすがに余裕がありすぎる…何をしよう…。

フードエリアYellow Cliff内「usubane」

山頂エリア「DAY DREAMING」

朝食にパクチー&チーズたっぷりのキーマカレーを食べたり、ゴンドラで山頂まで行って涼んだりしていたら意外とあっという間。GREEN STAGEのトップバッターは11:00からgo!go!vanillas。他にやることもないし、ゴーバニの後半辺りからGREEN STAGEの前方エリアに入りました。※ゴーバニのサポートメンバーに元くるりのファンファンさんがいて楽しかった!

 

ゴーバニが終わり、捌けていくファンの流れに逆らってジリジリと前方へ。見やすい位置さえ確保できれば、くらいのモチベーションでしたがあっさりと最前列ど真ん中を確保!うれしい!で、ここから1時間待ちます。スマホはバッテリーを節約したいので、ただ座って、山とか木とかを眺めながら待つ。アウトドア用座布団は必需品です。転換作業をチラチラ見ながらボーっと過ごすこの感じが懐かしい、と妙なところでフェスに戻ってきたことを実感したり。

バンドメンバーがステージに現れてサウンドチェック。この辺りから周りの人たちも立ち上がってライブ開始に備えます。ステージMC?が登場してコロナ対策の注意事項などを説明。フジロックってコロナ以前もステージMC的な人いたっけ?ともかく、いよいよJapanese Breakfastのライブです!うおお!

 

ライブレポ

冒頭3曲は最新アルバム「Jubilee」と同じ流れ。アルバムで何度も聴いた『Paprika』 → 『Be Sweet』を本人が生演奏で再現しているという現実に(ライブなので当たり前ですが)感動&興奮!アコースティックギターを持って歌った『Kokomo, IN』のゆったりと優しいメロディが心地良い。

 

続けてセカンドアルバムから『Road Head』 → 再び「Jubilee」から『Savage Good Boy』 → セカンドから『Boyish』と名曲連発。ていうか全曲良いんだよな…。

 

次の曲『The Body Is A Blade』(セカンドアルバム収録)が個人的なハイライト。母親の闘病と死別という悲しみに向き合い、日々を切り拓いて進むことを歌ったこの曲は、ミシェル・ザウナー自らが監督として手がけたMVも素晴らしいです。

youtu.be

ライブでは、このMVを再編集した映像がバックスクリーンに映し出されたのですが、その映像が曲の終わりと同時にファーストアルバムのジャケットに使われたあの親子写真で締めるという、何かもう“神演出”としか言いようがない素晴らしいもので泣泣泣泣という感じでした。

Psychopomp

Psychopomp

music.apple.com

記憶が正しければわたしがJapanese Breakfastを知ったキッカケはこのMVだし、『The Body Is A Blade』は間違いなく一番好きな曲(の1つ)なので、いろいろな感情の波が押し寄せてカタルシスを感じました。

 

続けて、Japanese Breakfast名義でサントラを手がけた「Sable」というゲームの挿入曲『Glider』を披露。ゲームの映像が綺麗で、またしてもバックスクリーンばかり見てしまった(笑)。「Jubilee」から『Posing In Bondage』、そしていよいよあの曲。

 

『Everybody Wants To Love You』きたー!ファーストアルバム「Psychopomp」収録、疾走感・爽快感抜群の代表曲!やっぱり特別な1曲です。晴れやかな気持ちになったところで、「Jubilee」の中でも特にダンサブルな『Slide Tackle』へ突入。サックスのメロディとギターリフが気持ちいい。アウトロで「いち・に・さん・し・ジャンプ〜!」の掛け声!みんなでジャンプした!楽しい〜!

 

「カバー曲をやるよ」と一言。まさか…!?クランベリーズの『Dreams』きたー!コロナ前のツアーでもセトリに固定で入っていて、前回の来日公演(2019年)でも聴くことができましたが、今回のツアーにも入っていたんですね〜!小さなライブハウスと開放的なGREEN STAGEではやっぱり聴こえる印象が違って、感無量という感じでした。バックスクリーンの映像は映画「恋する惑星」。劇中でフェイ・ウォンという俳優が『夢中人』というタイトルでこの『Dreams』をカバーしているそうです。ずっと気になってるけど観れてないんだよな〜。

youtu.be

と、ここでいったんバンドメンバーが捌けて、ミシェル・ザウナー弾き語りスタイルで『Posing For Cars』。またバンドメンバーが戻ってきて音を重ねていく。上に貼った『Dreams』の映像でも確認できますが、ドラムのクレイグ・ヘンドリックスという人はJapanese Breakfast作品をずっとプロデュースしてきた盟友でもあります。実は前回の来日公演のときから彼のファンでして…。パキッとしているのに、ドリーミーな浮遊感もある音の鳴りがすごくかっこいい。

 

最後の1曲は『Diving Woman』。セカンドアルバムの1曲目でライブを締める粋なセトリ!深く深く潜っていくように、歪んだギターの音が伸びていくアウトロが気持ちいい。バックスクリーンの映像もサイケな感じでハマってる。グイグイと引き込まれて終わる、良い余韻が残るラストでした。

 
 
 
 
 
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まとめ

というわけで、わたしにとってのメインアクト、Japanese Breakfastのライブは終了。ここから急に雑にまとめますが、このあとは鈴木雅之 → Black Country, New Road→ Tom Misch → Mogwai → Halseyと見て周りました。どれも最高!でしたが、強いて選ぶならやっぱりHalseyは圧巻。Mogwaiの轟音で全身ビリビリ震えたあとだったのに、全く劣らない爆音のステージ。

 

ほとんど雨が降らなかったので、食事も落ち着いて摂れたし、ライブ中も移動中も快適で本当に楽でした。雨は降らないに越したことないです…。体力を温存するために角野隼斗さんを諦めて場外の売店「Nプラトー」まで行って休んだりもしました。綺麗なトイレがあるし、ミネラルウォーターの在庫も残ってて(場内はスポドリしか残っていない売店が多かった)良かった。

 

あとドラゴンドラで山頂まで行けば、レストランのウォシュレット付きトイレが使えることも今回初めて知りました。まぁゴンドラ乗り場も朝一のタイミングを逃すと長蛇の列だったので、トイレのために山頂に行くのは現実的ではありませんが…。

 

1:00に横浜行き夜行バスに乗って帰宅。行きと違って最終日の夜行バスは混んでて、隣にも人が座ってかなり窮屈でした…。最終日は1泊して翌日新幹線の指定席で帰るのがいいかもしれません。今後の課題。

 

3年ぶりのフジロック「こんなに楽しかったっけ?」と思うくらい最高の1日を過ごせました(災害級の豪雨に見舞われた2019年と違って快適に過ごせたから、という理由もあります)。日帰りも良いけど、また泊まりで(次は会場付近の民宿プランにしようかなぁ)参加したい!と思いました。